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山楂子(さんざし)について

山楂子(さんざし)とは?

山楂(さんざ)とは、バラ課 バラ目、サンザシ属の植物で、秋になると真っ赤な実を付け、これが山楂の実「山楂子」です。
国産の産地である南信州 高森町では、概ね5月に白い花を咲かせ、10月に収穫を迎えます。
中国では「山を赤く染める」と言われるほどお馴染みの果実です。健胃、消化を助けるとして薬としても使われ、日本でも美と健康に役立つと美容業界で今、注目を集めています。

Botanic薬草LAB.では、山楂子プロジェクトチームと共に、これを地域の特産にすべく、栽培と製品化を研究しています。

薬効・効能

  • 消化、整腸、健胃、鎮静薬として、胃炎、胃拡張、食欲不振、食中毒に効くとされる。高血圧の治療薬としても。
  • エキスをお湯でといた山楂子茶として用いると、胃弱でみぞおちがつまるような人に効果がある。
  • 兎による実験では、血圧降下作用や、抗菌作用も認められている。
  • 漢方では、消化を助け、下痢を止めるとして、処方される。消化不良、食欲不振に。
  • 中国では、心筋梗塞に用いられ、ヨーロッパでは同種のセイヨウサンザシの果実が強心剤として用いられることもある。
  • 成分はアミグダリン、クエン酸、ビタミンCなどをバランス良く含み、アミグダリンは酵素により分解され、青酸、ブドウ糖、ベンスアルデヒドとなる。

中医学の分類「五味・五性」は「酸・微温」に分類されます。

山楂子 と南信州

山楂子を食用の植物として国内栽培を始めたのは、長野県高森町牛牧、水口農園の木村重臣さん。1990年頃、日中友好交流の会の会員として訪中した際に注目し、品種の選別で改良を続け、栽培に取り組んでいらっしゃいました。
現在、日本で多く出回っている2大品種「北京」「西安」は木村さんが見いだしたもの。国内では主に観賞用植物として認識されていた山楂子を、試験栽培を経て、中国から原種を輸入、優良品種を選別するなどして食用として改良し栽培をされています。
日本国内で、食用として栽培されているのは僅かで、ほぼ南信州高森町の木村さんが広めた所だけ。現在、日本で販売用に栽培されている山楂子は、ほぼ南信州高森町産です。

Botanic薬草LAB.の山楂子プロジェクトチームでは、この高森町で静かに広まっている山楂子の果樹園をお借りして、木村さんに栽培等をご指導をいただきながら活動しています。

秋に実った山楂子
秋に実った山楂子

利用方法

食品として

熟した山楂子を洗い、ヘタとガク(ヘタの部分)を切り落とし、半分にして種を取り出します。そこから、コンポートやジャムにします。
調理するときには、酸度が高いので、ステンレスやホーロー鍋を使いましょう。
ペクチンが強いので、砂糖だけで固まります。お菓子や、寒天寄せ、スポーツの行動食としても使われます。

基本的に生のままでは食べられません。

生薬としての採取方法と保管

完熟する少し前に採取し、天日干し(陽乾)させます。 湿気や虫食いに弱いので、風通しのよい暗所に保管します。

山楂子トリビアいろいろ

山楂子あめ 糖葫芦(タンフール)

中国天津など、山楂子の産地では、山楂子をアメでコーティングした、山楂子あめの屋台が出ます。
見かけは日本でも屋台でもお馴染み「リンゴ飴」を小さくたくさん鈴なりにしたような、かわいらしいもの。ただし日本のリンゴ飴よりも飴に「パリパリ」という食感が出るように調理されています。
これを糖葫芦(タンフール)といい、中国では冬の風物詩なのだそう。
山楂子の風味と飴のパリパリとした食感、甘酸っぱい美味しいお菓子です。

光宗(南宋三代皇帝)に寵愛された黄貴妃が病気になった際、医師からの薦めで糖葫芦を食べ健康を回復したことから、庶民にも広まったのだとか。
この他に、山楂子のアイスやドリンクなども売られ、山楂子は中国のソウルフードの一つとも言えるかもしれません。

西洋と山楂子

山楂子は中国だけではなく、その仲間が西洋にも広がっています。

キリストのいばらの冠

キリストが磔(はりつけ)にされた時被せられていたいばらの冠は、サンザシの原種の冠だと言われています。

幸せを呼び込むMay flower

山楂子は「May flower」(5月の花)とも言われ、女性がある日に集めたサンザシの雫を飲むと幸せな結婚ができる、と言う伝承もあるそうです。

牧場の柵のサンザシ

山楂子の原種は固い棘があります。その特性を利用して、家畜を放牧する牧場を囲う柵に使われています。
オーストリアには広大な生垣があり、季節には一斉に白い花を咲かせるのだとか。

暴れん坊将軍と山楂子

日本に山楂子が伝わったのは、享保、八代将軍徳川吉宗の時代です。
徳川吉宗により、外国の薬用植物の栽培が推奨された際に渡来し、各地の御薬園で栽培されていたと言われています。
現在でも東京大学薬草園(昔の小石川養生所あと)にある山楂子は、当時のものなのだとか。

その後、食用としては定着しなかったものの、赤い小さい実が美しく、観賞用の植物としては栽培されてきています。

食いしん坊には山楂子を

中国では、消化を助ける効果、特に魚肉の消化促進に効果があるとして、たくさん食べた時などに食後に山楂子を食べることがあるのだとか。
脂っこい食べ物を食べるときに、一緒に山楂子を食べると、胃もたれせず、美味しくいただけるのは、ボタニック藥草LABのバーベキューで実証済み。
二日酔いにも良いと言う話もあります。

山楂子の漢字について

「山楂子」の漢字は「山査子」と、木偏のない常用漢字で代替されて表記される場合があります。それでも間違いではありませんが、ここではより正しいとされる「山楂子」と標記しています。

主な出展一覧

  • 水野 瑞夫監修 『日本薬草全書』1995年 新日本法規出版
  • 指田 豊、木原 浩 『身近な薬用植物 あの薬はこの植物から採れる』 2013年 平凡社
  • アンドリュー・シヴァリエ.『世界薬用植物百科事典』2000年 誠文堂新光社
  • サンディ・スワンダ田力『漢方製薬実用辞典』2009年 ガイアブックス.
  • 刈米達夫『和漢生薬』1971年 廣川書店
  • 趙 中振虎彪, 劉 成林 『中薬材鑑定図典』2012年 エヌティーエス
  • 木下 武司『歴代 日本薬局方収蔵 生薬大辞典』2015年 ガイアブックス
  • 農村漁村文化協会 ルラール電子図書館 農業技術体系

ほか、木村さんはじめ、山楂子栽培に携わっていられる皆さんにお話をお伺い、ご協力をいただきました。ありがとうございました。

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