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桑について

桑とは?

桑(クワ)とは、バラ目 クワ科 クワ属 マグワの高木の植物です。お蚕様の主食として、日本全国、南信州でも多く育てられ、野生でもみられる落葉高木です。
神の木とさえ言われるほど、葉、幹・枝、根、そして実と全てがと利用される植物です。

薬効・効能

  • 桑葉は、カルシウム、鉄分、亜鉛などのミネラルが大変豊富に含まれ、熱を冷まし、渇いた咳をとめ、口渇を治し、目を明らかにすると言われ、感冒・咳嗽(くしゃみ、はなみず、倦怠感など)、頭痛、喉の渇き、目の充血等に。
  • 桑甚(桑の実)は、滋養強壮作用があり、肝臓腎臓の機能を高め、腰痛や紅、体の弱りに用いられる。
  • 桑白皮(根の甘皮)は利尿、解熱、鎮咳作用があるとされ、気管支炎、漢方処方中に配合さる。薬局方に収蔵の医薬品。葉などは食品。
  • 血圧降下・血糖降下作用を応用し、高血圧症、動脈硬化症、肥満症、糖尿病、神経痛等の改善や予防に
  • 成分は、デオキシノジリマイシン、フラボノイド、エタノール、クマリン類など。

利用方法

桑の葉

夏に、小枝まるごと収穫して、風通しの良いところで陰干し(陰乾)乾燥させ、煎じてのみます。
1日10~20gを煎じて服用するとよいそうです。

実の食べ方

桑の実はマルベリーとも言い、生食のほか、乾燥させて乾燥ベリーとして。また、桑の実をお酒に使って、桑甚酒(ソウジン酒)として飲まれることも。 普通にフルーツとしても美味しいです。養蚕が盛んな頃のイメージがある方は食べて口を真っ赤にした経験がある方もいらっしゃるのでは?
現在では、実をとる為に品種改良された桑の木による実もあるので、昔のイメージからすると、大粒で甘くてちょっとびっくりするかもしれません。

桑の栄養価

桑は、お蚕様の食べ物です。蚕は桑だけを食べ他を一切食べません。ここからわかるように、非常に栄養価の高い植物です。
葉には、カルシウムや鉄分などのミネラルは、モロヘイヤや小松菜と肩を並べるほど豊富です。成分デオキシノジリマイシンは、血糖値を抑制する効果があると言われています。
実には、ポリフェノールの一種、アントシアニンが豊富に含まれます。

桑トリビア

南信州と桑

南信州は「日本三大桑園」に数えられるほどでも養蚕が盛んで、昔から桑が盛んに育てられてきました。今でもあちこちにたくさん桑が残っています。

養蚕が衰退した今でも、クワの研究が続けられ、人間が直接利用するクワ栽培が行われています。 桑の葉茶に向く品種や、果実(マルベリー)がとれる品種などが栽培され、再び注目を集めています。

私たちはこの桑を、サンザシ、杜仲と合わせて「南信州高森の三大薬草」と名付けています。

「桑色」

日本古来の伝統色に「桑色」と呼ばれる色があります。根の皮や、幹をつかい、染めると、黄茶色や黄色に染まります。 これを日本の色で「桑色」という色になります。 これとは別に、実を使って、藤紫色の染め物もあります。こちらは色落ちしやすいですが、鮮やかな色に染まります。

桑の木は「神の木」

東洋医学・中医学では、桑の木は、葉、幹・根っこ、実、すべてが健康の為に使えるとして、「神の木」と言われ、桑の木を使って箸や器を作って使うと、長生きできる、とまで言われてきました。
古来中国では、桑樹を聖なる木と見做して、時には信仰の対象に見做されてきました。

また、日本でも、雷よけのおまじないに「桑原桑原(くわばらくわばら)」と唱えます。これは、雷神になった菅原道真が、桑の畑を避けて通っていたという伝承から言われており、日本でも昔から「神の木」です。

桑の種類

一口で桑と行ってもたくさんの種類があります。日本の桑は大きく二つに分けられ

  • 山桑(ヤマクワ)…日本の自生する桑。小型で葉が尖っている。木目が美しく、高級家具の材料に使われる
  • 唐桑(カラクワ)…中国原産で奈良時代に伝わってきた桑。比較的葉が丸い。ロ桑も仲間。

があります。

さらに細かくは数多くの品種が開発されています。
実をとる品種では、黒い実を付けるララベリーや、赤い実を付ける多胡早生など。

また、桑の木は海辺でも育つほど塩害に強く、東日本大震災で津波を被った土地の復興にも使われました。

写真について

写真は、Pohoto AC さまよりお借りしました。